筆跡鑑定

筆跡鑑定では、「筆者識別」と「筆者照合」があります。

「筆者識別」とは、ある複数の人物の中から対象となる文字の筆者が誰であるかを判断するものであり、 「筆者照合」とは、ある筆者が筆記した文字に対して、本当にその筆者が筆記したものかどうかを判別することです。

伝統的鑑定手法では表現が曖昧でしたが、近年コンピュータを用いた手法の発達により、 その表現は明確に分けられるようになりました。

筆跡鑑定では、原則として字体が同じ、書体も同じか近似する文字で、記載時期ができるだけ近いものを比較対照します。

私たちが日常書く文字は、幼いころから長い年月をかけて訓練し習い覚えたものです。

成長して行くに従って記載する文字に個性が表れ、筆跡個性も固定化していきます。

筆跡鑑定では、このような書きぐせのことを筆跡個性と言います。

人と人との間に個人差を生じるため、筆跡をとおして筆者を識別・照合することができるようになるのです。

筆跡鑑定の流れ

  1. 鑑定資料の種類や外観を記録する
    契約書、受領書、遺言書(自筆/公正証書)、書留、郵便はがき、脅迫状、誹謗文書、投書、届出書(養子縁組届)
  2. 鑑定資料の外観と内容の外観所見
    用紙の種類や大きさ(ノート/日記帳/家計簿/手帳/便箋)、書式(縦書き/横書き)、文書形態、書字目的(届出書/手紙/メモ)、 筆記具、複製文書(感圧複写式/フォトコピー)、配字、文字の大きさ、文字間隔、特異字(誤字/誤用/異体字/当て字)、記載時期
  3. 比較対照する検体筆跡を選出する
    同じ字体、同じ書体(近似の書体は可)、文字種(漢字/かな/数字/)、選出文字(文字列/署名/個別文字)、検体筆跡の取り込み
  4. 筆跡全体の比較検査
    配字の傾向、文字相互間の大小、文字の外形(縦横比)、文字の続け書き、文字列や行のゆれ(乱れ/行頭/行末/行間の安定性)、文字の重ね書きなどの検査
  5. 一字に関する検査
    画構成を主とする検査、一字の構成(部分と部分の関係”へんとつくり”など)、 字画の続け書き、逆運筆、分割運筆、字形(丸型、角形など)、 外形(長体/平体/正体)、筆順(原則筆順/原則外筆順/出現率/親筆順)、 誤字、誤用、異体字、作為筆跡、改ざん筆跡(訂正・加筆)などの検査、 始筆位置、入筆方向、運筆方向(垂直方向/水平方向/斜め/右上がり)、 運筆状態(滑らか/不安定)、字画形態(送筆部の曲直/反り)、 接続位置、字画間隔、終筆状態(とめ/はね/はらい)、 続け書き(実線/連続細線)、転折形態(角あり/鋭角的/曲線的/湾曲状)、 字画の省略、交差位置(交点を中心とする上下左右の字画の長さ)
  6. コンピュータを用いた画像解析による個人内変動の検証
    文字を正規化し(自動的に文字が一定の大きさにそろう)、文字の細線化、偏・旁の矩形を検出してスーパーインポーズが可能
  7. コンピュータを用いた数値解析による個人内変動の検証
    鑑定人の主観を排除した客観的な筆者識別、照合を行う。筆者の特徴抽出には、パターン認識の分野で、 筆者識別や筆者照合において有効性が検証されている、加重方向指数ヒストグラム特徴、背景伝播法を用いて筆者の特徴を抽出する。
  8. 検査結果を総合的に検討
    資料の外観検査、目視検査、文書鑑定工学的検査、筆跡数値解析検査等の各検査結果を相互間で検証し合い、 客観性のある合理的な鑑定方法により結果を導く。
  9. 鑑定結果

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